- ブラジル版の紅白歌合戦
- 2025年はDominguinhoの圧勝
- 各部門の受賞結果まとめ
- 「今年のアルバム」Álbum do Ano
- 「今年のアーティスト」Artista do Ano
- 「今年の楽器演奏者」Instrumentista do Ano
- 「今年のジャケット」Capa do Ano
- 「今年のヒット曲」Hit do Ano
- 「新人賞」Revelação Com Orgulho Itaipava
- 「今年のライブ」Show do Ano
- 「今年のプロデューサー」Produção Musical do Ano
- 「今年のミュージックビデオ」Clipe TVZ do Ano
- 「ローカル部門」Categoria Brasil
- 「今年のアーバン・ミュージック」Música Urbana do Ano
- 「今年のセルタネージョ」Sertanejo do Ano
- 「今年のポップス」Pop do Ano
- 「今年のサンバ、パゴージ」Samba/Pagode do Ano
- 「今年のアホッシャ」Arrocha do Ano
- 「今年のファンキ」Funk do Ano
- 「今年のロック」Rock do Ano
- 「今年のMPB」MPB do Ano
- 「今年のフォホー、ピゼイロ」Forró/Piseiro do Ano
- 「今年のブレーガ」Brega do Ano
- 「今年のアシェー、パゴダン」Axé e Pagodão do Ano
- 「今年のDJ」DJ do Ano
- 「今年のゴスペル」Gospel do Ano
- さいごに
ブラジル版の紅白歌合戦
2025年も残すところわずかとなりました。Prêmio Multishow(プレミオ・ムウチショウ、Multishow賞)の季節です!
「プレミオ・マルチショー?何それ?」という方は、こちらの記事を参照ください。
「リンク先に飛びたくない」という方も、安心してください。簡単に説明します。
Prêmio Multishowは、ブラジルのテレビ局が主催する音楽賞です。2025年は12月9日に授賞式が開催されました。
この授賞式は、ブラジル版の紅白歌合戦、レコード大賞みたいな存在です。一年間のブラジル音楽をふりかえる音楽の祭典で、全国的に放映されます。
扱われるジャンルは、ポップス、セルタネージョ、ファンキからMPBまで。各ジャンルの「一年間のまとめ」のような役割も果たしているので、「ブラジル音楽のジャンルについて知りたい」とか「ブラジル音楽の全体像をつかみたい」といいう方は、まずこの音楽賞をチェックするのがオススメなのです!
一方で、紅白歌合戦に一定数のアンチが存在するのと同じように、Multishow賞にもアンチが存在します。でも、世代やジャンルを横断してブラジル音楽を総括する賞は他に存在しないので、私は毎年この賞に注目しています。
2025年はDominguinhoの圧勝
そんなMultishow賞、2025年の結果は、「Dominguinho」(ドミンギーニョ)の圧勝でした。
「Dominguinho」(ドミンギーニョ)は、歌手のJoão Gomes(ジョアン・ゴメス)、ギター弾き語りのJota Pê(ジョタペー)、アコーディオン奏者のMestrinho(メストリーニョ)という三人組によるライブアルバムで、「今年のアルバム」、「今年のアーティスト」を含む5部門を受賞しました。
私も大好きな作品です! それぞれのアーティストの持ち歌から昔のヒット曲まで、幅広い楽曲を三人のハーモニーで再構成し、ブラジル北東部の伝統にのっとった新しい音楽にしており、聴けば聴くほど心に沁みる名作だと思います。2026年はワールドツアーも控えており、三人のこれからの活躍も楽しみです。
それでは、賞の各部門の結果を見ていきましょう。
各部門の受賞結果まとめ
「今年のアルバム」Álbum do Ano
- Dominguinho, João Gomes, Mestrinho e Jota.pê 受賞
- Coisas Naturais, Marina Sena
- DLRE, Diamantes, Lágrimas e Rostos para Esquecer, BK
- O Mundo Dá Voltas, BaianaSystem
- Rock Doido, Gaby Amarantos
- Um Mar Pra Cada Um, Luedji Luna
「今年のアーティスト」Artista do Ano
- João Gomes 受賞
- Ana Castela
- Gaby Amarantos
- Gilberto Gil
- Liniker
- Menos é Mais
「Dominguinho」(ドミンギーニョ)のJoão Gomes(ジョアン・ゴメス)が受賞しました。もはやブラジルの国民的歌手と呼んでもいいのではないでしょうか。唯一無二の声の持ち主だと思います。
「今年の楽器演奏者」Instrumentista do Ano
- Mestrinho 受賞
- Amaro Freitas
- Hamilton de Holanda
- Hermeto Pascoal (In memoriam)
- Jonathan Ferr
- Pretinho da Serrinha
「Dominguinho」のアコーディオン奏者、Mestrinho(メストリーニョ)が受賞しました。アコーディオンの腕もすごいけれど、個性的な歌声も味わい深くて、私は好きです。
「今年のジャケット」Capa do Ano
- Dominguinho, João Gomes, Mestrinho e Jota.pê 受賞
- Carranca, Urias
- Coisas Naturais, Marina Sena
- Diamantes, Lágrimas e Rostos para Esquecer, BK
- O Mundo da Voltas, BaianaSystem
- Rock Doido, Gaby Amarantos
「今年のヒット曲」Hit do Ano
- P do Pecado, Menos é Mais e Simone Mendes 受賞
- Cacos de Vidro, BK, Kolo e Evinha
- Foguinho, Gaby Amarantos
- Resenha do Arrocha, J. Eskine
- Sua Boca Mente (You’re Still The One), Zé Felipe e Ana Castela
- Tubarões, Diego & Victor Hugo
「今年のヒット曲」部門は、大ヒットしたパゴージ(サンバの一種)の曲、「P do Pecado」(ペー・ド・ペカード)が受賞しました。この曲については、こちらのブログ内記事でも取り上げています。
パゴージのグループ、Menos e Mais(メノゼマイス、メノス・イ・マイス)は、ここ数年、異例ともいえる大成功を納めています。Spotifyのトップソング・ランキングを見てみると、この記事を書いている12月10日時点で、2位にこの「P do Pecado」、5位に「Pela Última Vez」(ペラ・ウチマ・ベス)、11位には昨年の曲「Coração Partido」(コラソン・パルチード)がランクイン。
ここまでパゴージが長期的に大ヒットしたことが、最近あったでしょうか? いまブラジルは、空前のパゴージ・ブームだと言えます。
「新人賞」Revelação Com Orgulho Itaipava
- Danilo & Davi 受賞
- Ajuliacosta
- Joyce Alane
- Léo Foguete
- Panda
- Yan
新人賞は、セルタネージョ(ブラジルのカントリー)の男性デュオ、Danilo & Davi「ダニロ・イ・ダヴィ」が受賞しました。
「今年のライブ」Show do Ano
- 20 anos, Jorge & Mateus 受賞
- Até a Ultima Ponta, Planet Hemp
- Caju, Liniker
- Dominguinho, João Gomes, Mestrinho e Jota.pê
- Tempo Rei, Gilberto Gil
- The Town – IZA
「今年のライブ」部門は、セルタネージョの人気デュオ、Jorge &Mateus(ジョルジ・イ・マテウス)の結成20周年ライブが受賞しました。Jorge &Mateusは、ツアーの終了をもって解散することになっています。
「今年のプロデューサー」Produção Musical do Ano
- Pretinho da Serrinha 受賞
- Dudu Borges
- Eduardo Pepato
- Iuri Rio Branco
- Janlusca
- Papatinho
「今年のプロデューサー」部門は、なんと3年連続でPretinho da Serrinha(プレチーニョ・ダ・セヒーニャ)が受賞しました。
これには、さすがに驚かされました。私としては、Iuri Rio Branco(イウリ・ヒオ・ブランコ)が受賞してほしかったです。今年のIuri Rio Brancoは、Don L(ドン・エリ)の曲「Saudade do Mar」やLuedji Luna(ルエジ・ルナ)の「Iôiô」など、ポップでありながら味わい深い曲をたくさん作っています。
「今年のミュージックビデオ」Clipe TVZ do Ano
- Sua Boca Mente, Zé Felipe e Ana Castela 受賞
- Acima de mim só Deus, Filipe Ret
- Lua Cheia, Marina Sena
- Numa Ilha, Marina Sena
- P do Pecado, Menos é Mais e Simone Mendes
- Pote de Ouro, Liniker ft. Priscila Senna
ミュージックビデオ部門は、こちらの記事でも取り上げた今世紀最大のビッグ・カップル、Zé Felipe(ゼ・フェリピ)とAna Castela(アナ・カステラ)のコラボ曲「Sua Boca Mente」(スア・ボカ・メンチ)が受賞しました。セルタネージョ界の頂点に立つこの2人の交際宣言は、ふだん芸能人のゴシップに興味ゼロの私でも、思わず関連記事を読みふけってしまうほど驚かされました。
「ローカル部門」Categoria Brasil
- Benzadeus (中東部) 受賞
- Bruna Black (南西部)
- Zudizilla (南部)
- Josyara (北東部、ノルデスチ)
- Marília Tavares (北部)
ブラジルのローカルな音楽シーンに光を当てるこの部門では、ブラジリア出身のパゴージ・グループ、Benzadeus(ベンサデウス)が受賞しました。
大人気のMenos e Mais(メノゼマイス)もブラジリア出身です。ブラジリアのパゴージは、リオのパゴージと違って、ちょっとセルタネージョに似ている気がします。そういうところが全国的に受けているのかもしれません。
「今年のアーバン・ミュージック」Música Urbana do Ano
- Cacos De Vidro (sample: Esperar pra ver), BK, Kolo, Evinha 受賞
- Amina, Tasha & Tracie
- Dharma, AJULIACOSTA
- Fuso, Duquesa
- LIDO COM CRISES, Ryu, The Runner, Vulgo FK, Neckklace e 6ee
- Talvez Você Precise de Mim – Veigh
アーバン・ミュージック部門は、ラッパーのBK(ベーカー)の曲、「Cacos De Vidro」(カコス・ジ・ヴィードロ)が受賞しました。ブラジリアン・ソウルの隠れた名曲であるEvinha(エヴィーニャ)の「Esperar pra ver」(エスペラー・プラ・ヴェー)をサンプリングしており、若い世代にEvinhaが再発見されるきっかけとなりました。
なお、この部門でノミネートされていたTasha &Tracie(ターシャ・イ・トレイシー)、Ajuliacosta(アジュリアコスタ)、Duquesa(ドゥケーサ)は、みな女性ラッパーです。2025年はブラジルで女性ラッパーの存在感が強い一年でした。
「今年のセルタネージョ」Sertanejo do Ano
- Tubarões, Diego & Victor Hugo 受賞
- Ilusão de Ótica, Matheus & Kauan e Ana Castela
- Olha Onde Eu Tô, Ana Castela
- Saudade burra, Lauana Prado feat. Simone Mendes
- Saudade Proibida, Simone Mendes
- Sua Boca Mente (You’re Still the One), Zé Felipe e Ana Castela
セルタネージョ(Sertanejo)とは、ブラジルのカントリー・ミュージックです。「今年のセルタネージョ」部門は、Diego & Victor Hugo(ジアゴ・イ・ヴィクトー・ウーゴ)のヒット曲「Tubarões」(トゥバロンス)が受賞しました。この曲は、今年ずっとSpotifyのトップソングのチャート上位にランクインしていました。
「今年のポップス」Pop do Ano
- Numa Ilha, Marina Sena 受賞
- Caos e Sal, IZA
- Despacha, Melly
- É Arte, Lexa, Kevin O Chris
- Lua Cheia, Marina Sena
- Você Vai Gostar, Duda Beat e AJULIACOSTA
MPB(ブラジルの伝統的ポップス)とは区別されるポップスの部門は、Marina Sena(マリーナ・セナ)の「Numa Ilha」(ヌマ・イリャ)が受賞しました。2024年の12月にシングルとしてリリースされ、2025年のアルバム「Coisas Naturais」(コイザス・ナトゥライス)にも収録された曲です。ドミニカ共和国の音楽であるバターチャのスタイルをとっていながらも、同じような世界観は他に存在せず、まさに今のブラジル音楽がほこる孤高の一曲だと思います。
「今年のサンバ、パゴージ」Samba/Pagode do Ano
- P do Pecado, Menos É Mais & Simone Mendes 受賞
- Apagar (Fundo Raso), Ferrugem
- Duvido, Turma do Pagode feat. Ferrugem e Mumuzinho
- Fica Com Deus, Yan e Sorriso Maroto
- Pela Última Vez, Menos é Mais e Nattan
- Vento, Xande de Pilares
パゴージ(Pagode)とは、演奏者が輪になって演奏し、観客も一緒に歌って楽しむサンバの一種です。そんなパゴージのブームをいま支えているのが、Menos e Mais(メノゼマイス、メノス・イ・マイス)というグループ。かれらがセルタネージョの超人気歌手、Simone Mendes(シモーニ・メンジス)とコラボしたら、売れないわけがありません。「P do Pecado」(ペー・ド・ペカード)は「今年のヒット曲」部門とあわせてダブル受賞となりました。ロングヒットも受賞も、納得の結果です。
「今年のアホッシャ」Arrocha do Ano
- Resenha do Arrocha, J. Eskine 受賞
- Mãe Solteira, DG e Batidão Stronda, Mc Davi, J. Eskine e MC G15
- Me apaixonei nessa morena, Natanzinho Lima ft. Mc Tato e Gabb MC
- Não Era Love, Luan Pereira, Grelo e MC Tuto
- Saudade Top 1, Unha Pintada
- Vou começar a não prestar, Theuzinho e Nadson O Ferinha
アホッシャ(Arrocha)はバイーア州で2000年代に生まれた音楽です。フォホーによく似ているのですが、アホッシャはもともとブレーガ(Brega)というローカルな歌謡曲の影響を受けて成立しており、そういった文化的背景が違うみたいです。すごく雑な説明をすると、フォホーは「チャッチャカチャッチャカ♪」と踊れて軽快な感じがする一方で、アホッシャは南国の大衆食堂で流れていそうな歌謡曲っぽい感じがあります。
2023年のMultishow賞では、「ブレーガ、アホッシャ部門」としてまとめられていました。ところが最近はテクノ・ブレーガ(Tecno Brega)という打ち込み系レイヴ音楽を「ブレーガ」と呼ぶことが増えたため、2024年以降は「ブレーガ部門」と「アホッシャ部門」が分かれたものと思われます。
前置きが長くなりました。アホッシャ部門を受賞したJ. Eskine(ジョタ・エスキニ)は、昨年まで無名でしたが、「Resenha do Arrocha」(ヘゼーニャ・ド・アホッシャ)という超お下品な曲がバイラルヒットをとげ、「ギャングスタ・アホッシャ」として話題を呼びました。アホッシャはもともとベタなラブソングが多いジャンルです。そんな中で、下ネタ全開のこの曲は、ものすごいインパクトがありました。
「今年のファンキ」Funk do Ano
- Bota Um Funk, Pedro Sampaio, Anitta e MC GW 受賞
- Famosinha, MC Rodrigo do CN, MC Meno K, DJ Caio Vieira
- MOTINHA 2.0 (Mete Marcha), DENNIS, Luísa Sonza
- Oh Garota Eu Quero Você Só Pra Mim, Oruam feat. Zé Felipe, Mc Tuto, Mc Rodrigo do CN
- Sequência Feiticeira, Pedro Sampaio feat. MC GW, MC Rodrigo do CN, MC Jhey, MC Nito
- Vou Raspar Seu Bigodin, Mc Dricka feat DJ S2k
ブラジル独自のストリート・ミュージックであるファンキ(Funk、バイレファンキ)の部門です。DJのPedro Sampaio(ペドロ・サンパイオ)が、Anitta(アニッタ)、MC GW(エミセー・ジェーダブリュ)とコラボした曲、「Bota Um Funk」(ボータ・ウン・ファンキ)が受賞しました。
Pedro Sampaioは今年、ぶち上げなダンスチューンの「Sequência Feiticeira」(セクエンシア・フェイチセイラ)が大ヒット。いままでの「Sequência なんとか」系の曲をすべて収録したアルバム「Sequência #1」(セクエンシア・ヌメロ・ウノ)もリリースし、ファンの私を歓喜させました。
Anittaは今年、ここ10年間の異常なオーバーワークを見直し、活動を制限していましたが、昨年のアルバム「Ensaios da Anitta」(エンサイヨス・ダ・アニッタ)のデラックス版をリリース。超豪華なゲストで、ファンの私を歓喜させました。
そしてMC GWは、バイレファンキだけでなく、ユーラシア大陸のPhonk(フォンク)のアーティストとも精力的にコラボしており、じつはブラジル国外にも多くのリスナーを抱えているアーティストです。この三人の曲が受賞するのは、妥当だと思います。
一方で、Spotifyの再生回数を見ると、今年になって逮捕されたOruam(オルアン)と、さきほども登場したZe Felipe(ゼ・フェリピ)のコラボ曲、「Oh Garota Eu Quero Você Só Pra Mim」(オー・ガロータ・エウ・ケロ・ヴォセ・ソ・プラ・ミン)が2億回を超えており、圧倒的です。こちらの記事でも触れた話題の二人の曲で、話題の人物だから売れたのかもしれないけれど、単純にファンキの曲として良いと私は思います。
「今年のロック」Rock do Ano
- Dig Dig Dig Rmx / Duas Cidades, Planet Hemp, Baiana System 受賞
- A Cidade, Lagum
- Além do Fim, Di Ferrero
- Nada Igual, Terno Rei
- Nunca Tenha Medo RMX, Planet Hemp, Seu Jorge e Emicida
- toda garota como eu =( =), Duquesa feat Iorigun
ロック部門は、Planet Hemp(プラネチ・ヘンピ)とBaiana System(バイアーナ・システム)のライブ曲が受賞しました。とてもMultishow賞らしい選考結果です。
一方で、ラッパーのDuquesa(ドゥケーサ)の曲がノミネートされているのが面白いと私は思いました。この曲はちょっとJ-Popに似たところがあり、親近感がわきます。
「今年のMPB」MPB do Ano
- Apocalipse, Luedji Luna feat Seu Jorge e Arthur Verocai e Fejuca 受賞
- Açaí, Jota.pê, SLAP
- Fé (ao vivo), Caetano Veloso, Maria Bethânia
- Infinito em Nós, Zé Ibarra
- Sua Onda, Marisa Monte
- Um Brinde – Djavan
MPB(エミペーベー)は「Musica Popular Brasileira」(ブラジルのポピュラー音楽)の略称で、伝統重視のポップスがMPBに分類されます。今年のMPB部門は、2025年に2枚のアルバムをリリースしたLuedji Luna(ルエジ・ルナ)の曲、「Apocalipse」(アポカリプシ)が受賞しました。Seu Jorge(セウ・ジョルジ)とArthur Verocai(アルトュール・ヴェロカイ)をゲストとしてむかえた作品で、私も大好きな一曲です。
「今年のフォホー、ピゼイロ」Forró/Piseiro do Ano
- Beija Flor, João Gomes, Mestrinho, Jota.pê 受賞
- Cópia Proibida, Léo Foguete
- Eu me apaixonei, Vitinho Imperador
- Lembrei de Nós, João Gomes, Jota.pê, Mestrinho
- Melzinho, Talita Mel, Xand Avião
- Tudo Vai Dar Certo, Raí Saia Rodada
フォホー(Forró)はブラジル北東部(ノルデスチ)の伝統的な音楽で、最近のブラジルポップスに大きな影響を与えている重要ジャンルです。ピゼイロ(Piseiro)はその派生ジャンルにあたり、TikTokとの相性がよく、2020年ごろからしばらくのあいだ、ブラジル全土で大流行しました。
そんな「フォホー、ピゼイロ部門」は、「Dominguinho」(ドミンギーニョ)の「Beija Flor」(ベイジャ・フロー)が受賞しました。もともとJota Pe(ジョタペ―)が2015年リリースした弾き語りの曲だったのですが、斬新なフォホー風アレンジで、さらにすばらしく生まれ変わったと思います。
「今年のブレーガ」Brega do Ano
- Foguinho, Gaby Amarantos 受賞
- Apostar em Você, Luan Pereira, Zé Felipe e Mc Tuto
- Bailão, Zé Felipe, Grelo
- Desabafo de Um Jovem Adulto, Grelo
- Pense o Que Quiser de Mim, Raphaela Santos feat. Wesley Safadão
- Sonho de amor, Natanzinho lima
ブレーガ(Brega)とは、ブラジル北部の歌謡曲です。1990年代になると、ブレーガの進化形態として、巨大サウンドシステムを駆使した屋外ディスコ音楽、テクノ・ブレーガ(Techno Brega)が生まれました。このテクノブレーガも、略してブレーガと呼ばれます。
2010年代以降、テクノブレーガの存在を世界的に知らしめたのが、Gaby Amarantos(ガビ・アマラントス)でした。そんなGaby Amarantosが、最新のテクノブレーガである「クレイジーなロック」(Rock Doido)のエッセンスを凝縮させたのが、アルバム「Rock Doido」(ホッキ・ドイド)です。
このアルバムが傑作であることについては、こちらの記事にも書かせていただきました。収録曲の「Foguinho」(フォギーニョ)は、今年バイラルヒットしています。
「今年のアシェー、パゴダン」Axé e Pagodão do Ano
- O Baiano Tem o Molho, O Kannalha 受賞
- Desliza (“Ólhinho” No Corpinho), Léo Santana e Melody
- Energia de Gostosa, Ivete Sangalo
- Hoje Eu Vou Te Usar, Tília, Kadu Martins, Mc Daniel, Leo Santana, DG e Batidão Stronda
- O Verão Bateu em Minha Porta, Ivete Sangalo
- Surra de Toma, Léo Santana
ブラジル北東部(ノルデスチ)のバイーア州で生まれた屋外ディスコ音楽、Axé(アシェー)とその進化形のPagodão(パゴダン)の部門です。アシェーといえばIvete Sangalo(イヴェッチ・サンガロ)、パゴダンといえばLeo Santana(レオ・サンタナ)なので、やはり今年もこの2人がノミネートされています。
そんな中、若い世代のO Kannalha(オ・カナーリャ)が受賞しました。若い世代をもっと応援していこう、というMultishow賞の心意気を感じます。
「今年のDJ」DJ do Ano
- Papatinho 受賞
- Alok
- Dennis
- Mochakk
- Pedro Sampaio
- Vintage Culture
毎年のようにAlok(アロック)が受賞していたDJ部門。今年はPapatinho(パパチーニョ)が受賞しました。
2025年のアルバム「MPC」(エミペーセー)では、リオのオールドスタイルなファンキを復興させ、世代もジャンルも横断した「みんなのファンキ」を創り出しています。この作品が私は大好きで、今年はよく聴いていました。少年時代の記憶をなぞるようなミュージックビデオも最高です。
「今年のゴスペル」Gospel do Ano
- Fé para o impossível, Eli Soares 受賞
- Avenida do Arrependimento, Thalles Roberto e Jorge
- Dependente de Deus, Isadora Pompeo
- O Leão, Ton Carfi
- Quem É Esse, Julliany Souza
- Santo Pra Sempre, Fernandinho
さいごに
いかがでしたでしょうか。
自慢ではありませんが、Multishow賞を毎年チェックしている私としては、おおむね予想通りの結果でした。この「予想通り!」を確かめ、「意外~」を楽しむのが、Multishow賞の醍醐味かもしれません。
余談ですが、今年の授賞式は、Preta Gil(プレタ・ジル)が居ないということを、痛感させられました。
Gilberto Gil(ジルベルト・ジル)の特別ライブでも、今年がんで亡くなった娘のPreta Gilを追悼する演出がありました。
また、O Kanalha(オ・カナーリャ)は受賞スピーチで、プレタジルが生前、彼がかならず成功すると励ましてくれたことを振り返り、彼女に感謝の念を表明しています。2024年のMultishowの音楽番組、TVZでPreta Gilが司会をつとめていたとき、O Kanalhaはゲストとして出演していました。
今回の授賞式をへて、ブラジルのポップス界における彼女の存在の大きさを、あらためて実感させられました。プレタジルがもう居ないなんて、まだ信じられません。



