Duda Beat(ドゥダ・ビーチ)とは、誰?

アーティスト紹介
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2025年、Duda BeatがEP「esse delírio vol.1」をリリース

こんにちは、ヨシイタケコです。前回のTim Maia(チン・マイア)特集を書くにあたってチンマイアの作品を時系列で聴いていくうちに、ブラジルディスコ・ミュージックに夢中になり、最近はSpotifyのプレイリスト「Brazilian Boogie」(ブラジリアン・ブギー)をよく聴いています。

そんな中、ついこのあいだ意外なアーティストディスコ・ミュージックをリリースしていることに気づきました。Duda Beat(ドゥダ・ビーチ)「Nossa Chance」(ノッサ・シャンシ)です。

DUDA BEAT, TZ da Coronel – Nossa Chance (Clipe Oficial)

Duda Beat(ドゥダ・ビーチ)ブラジルインディー・ポップ系シンガーソングライターで、2025年8月8日、この曲を収録したEP「esse delírio vol.1」(エッシ・デリリオ・ボウミ・ウノ)をリリースしています。

ここに貼った楽曲「Nossa Chance」(ノッサ・シャンシ)では、ラッパーTz da Coronel(テーゼー・ダ・コロネウ)とコラボ。ドゥダビーチがこんなふうにディスコ・ミュージックをやっていることも意外だし、ぜんぜん文化圏のちがうTz da Coronelとコラボしているのも意外です。良い意味でとても驚かされました。

EPには、ブラジリアン・サイケBoogarins(ブーガリンズ)のカバーまで収録されています! ずっとDuda Beatの作品を追いかけてきたリスナーとして、「ついにこんな境地に来たのか、こんな音楽を聴かせてくれるのか」と嬉しい気持でいっぱいです。

というわけで、あらためてDuda Beatに注目し、その唯一無二の魅力に迫りたいと思います。

Doda Beatとは、誰?

Duda Beat(ドゥダ・ビーチ)は、1987年10月8日生まれでブラジル北部ペルナンブーコ州レシフェ出身のアーティストです。インタビューによると、18歳ごろからは進学にともなってリオデジャネイロに移り住んでおり、20代の頃、恋愛の苦しみを昇華するために曲を書き始めたのがSSWとしての原点になっているそうです(Scream &Yell、2018/5/28)。

2018年 デビュー・アルバム「Sinto Muito」

そんなDuda Beatは、アーティストとしては遅咲きでした。30歳ごろ、2018年アルバム「Sinto Muito」(シント・ムイント)デビューしています。


Sinto Muito
DUDA BEAT – Bixinho (Clipe Oficial)

アルバム「Sinto Muito」の収録曲、「Bixinho」(ビシーニョ)。デビュー作の曲なのに、すでにスタイルが完成されていますよね。他に聴いたことのないような展開をする曲で、「ドゥダビーチらしい」としか言いようがありません。

この曲は普通のラブソングですが、他の曲では女の生々しい情念を美化せず歌にしていて、そういった誠実さもドゥダ・ビーチの魅力です。

2019年 シングル「Chega」

デビューの翌年2019年には、Mateus Carrilho(マテウス・カヒーリョ)Jaloo(ジャロー)という2010年代ブラジルのクィア・カルチャーの象徴ともいえるアーティストたちとコラボしています。

DUDA BEAT & Mateus Carrilho & Jaloo – Chega (Clipe Oficial)

「Chega」(シェガ)は、3人のアーティストの個性がよく出ており、相乗効果で最高の一曲に仕上がっています。カラフルでキッチュなMVも最高です。じつは以前、こちらの記事でも取り上げました。

2021年 2枚目アルバム「Te Amo La Fora」

2021年には、2枚目アルバム「Te Amo Lá Fora」(チ・アモ・ラ・フォラ)をリリース。

Te Amo Lá Fora
Duda Beat – Meu Pisêro (OFFICIAL VIDEO)

「Meu Pisêro」(メウ・ピゼーロ)は失恋の苦しみを歌っており、悲しいムードなのですが、ブラジル北部のダンスミュージックであるフォホーのリズムが軽快で、不思議とクセになる一曲です。

アルバム「Te Amo Lá Fora」については、リリースから2年後、リミックス版も出ています。

2023年「T3 4M0 L4 F0R4 RMX」(チ・アモー・ラ・フォラ・リミックス)は、参加しているDJたちが豪華です。彼らの手腕によって、内省的で暗鬱な歌が、踊れるエレクトリック・ミュージックに生まれ変わっています。

この作品が、私は大好きです! 今回新しいEPが出るまでのあいだ、Duda Beatの作品で一番よく聴いたのはこの作品でした。ジャケットのデザインも最高だと思います。

そしてDuda Beatも、この作品が転機となったのか、それまでの内省的な世界観のSSWから、踊れる音楽のSSWへと、変貌をとげていきました。

2024年 3枚目アルバム「Tara e Tal」

2024年3枚目アルバム「Tara e Tal」(タラ・イ・タウ)は、「T3 4M0 L4 F0R4 RMX」の延長線上にある実験的な作品です。

Tara e Tal
DUDA BEAT – SAUDADE DE VOCÊ

収録曲、「Saudade De Você」(サウダージ・ジ・ヴォセ)。マドンナみたいなMVは、マドンナの忠実な模倣ではなく、Duda Beat流のマドンナなのが良いと思います。

2025年 EP「esse delírio vol.1」

2025年EP「esse delírio vol.1」(エッシ・デリリオ・ボウミ・ウノ)は、Duda Beatの中でいちばんポップな作品となりました。

とくに私にとってツボだったのが、ブラジルサイケデリック・ロック・バンドBoogarins(ブーガリンズ)の曲のカバーです。

Foimal – DUDA BEAT, Boogarins (VISUALIZER)

「Foi Mal」(フォイ・マウ)という元曲がもともと良いんですが、この曲の質感とDuta Beatの声や世界観がすごく合っていると思います。

Boogarins元曲は、2017年のアルバム「Lá Vem a Morte」(ラ・ヴェン・ア・モルチ)に収録されています。

Boogarins, Lá Vem a Morte

EP「esse delírio vol.1」は、最後、アコースティックな楽曲「Casa」(カーザ、家)で締めくくられています。家に帰ったあとの孤独をうたう静かなこの曲は、EP前半のキラキラした世界観とあまりに対照的で、独特の寂寥感にあふれています。こういったEP全体の構成は、どんなに楽しいダンスミュージックをやっても、自分の音楽の原点は悲しみを歌うことにある、というDoda Beatの意思表明であるように私は感じました。

Casa (Demo) – DUDA BEAT (VISUALIZER)
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