ブラジリアン・ソウルの名盤10枚【Tim Maia以外】

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はじめに

こんにちは、ヨシイタケコです。

今回のテーマは、ブラジルのソウル、ファンクについて。

ただし、私が「ブラジリアン・ソウル名曲トップ10」という記事を書くと、全曲がTim Maia(チン・マイア)の曲になってしまいます──。Tim Maiaというのは「ブラジリアン・ソウルの帝王」とも呼ばれるアーティストで、本当にすごい名曲ばかり歌っているのです!

Réu Confesso

私はTim Maiaが大好きで、以前こんな記事も書きました。作品が多く、そのほとんどが同じ「Tim Maia」というタイトルであることがファン泣かせでもあります──。

というわけで、ブラジリアンソウルを聴いたことのない方は、まずTim Maiaを聴いてください!

でも、Tim Maiaだけが良いというわけではありません。それ以外にも良い作品はたくさんあります。そこで、今回は「Tim Maia以外」という縛りで、ソウル、ファンク系の名盤を10枚ご紹介します

アメリカのソウルミュージックに慣れている方は、試聴して「これはソウルではない…」と思われるかもしれません。なぜならブラジル独自のサンババイーアの音楽などが混じれば混じるほど、まったく別の音楽となるからです。そしてそういった「ブラジルっぽさ」こそが、ブラジリアン・ソウルの魅力でもあります。このページにたどり着いたのも何かの縁。ぜひブラジル音楽沼に足を踏み込んでみてください!

ブラジリアン・ソウル名盤10枚(ただしTim Maia以外)

Cassiano「Cuban Soul」1976年

Tim Maia(チン・マイア)と並んで「ブラジリアン・ソウルの御三家」とも呼ばれるのが、このCassiano(カッシアーノ)です。1943年リオデジャネイロ生まれのアーティストで、アメリカのソウルやファンクをブラジルに根付かせるのに貢献しました。

1976年のアルバム「Cuban Soul」(クーバン・ソウル)は名盤として名高く、まず最初に聴く一枚としてオススメです。とくに楽曲「Onda」(オンダ、「波」)は、聴くだけでリオデジャネイロの浜辺の光景が目に浮かぶようで、私も大好きな一曲です。

Onda

Hyldon「Na Rua, Na Chuva, Na Fazenda」1975年

Tim Maia、Cassianoとならんで「ブラジリアン・ソウルの御三家」と呼ばれているのがHyldon(イルドン)1951年サルバドールで生まれ、リオデジャネイロで育ったアーティストです。

その代表作である「Na Rua, Na Chuva, Na Fazenda」(ナ・フア・ナ・シュヴァ・ナ・ファゼンダ)は、ソウルというよりもロックを聴き慣れている人のほうが好きになるかもしれません。バッグバンドとして演奏しているのは、日本でも人気のフュージョン・グループ、Azymuth(アジムス)です。

ただし、すばらしい作品なのに、サブスクでは解禁されていません。フィジカルでぜひ手に入れておきたい一枚です。

Na Rua, Na Chuva, Na Fazenda – Hyldon

Jorge Ben「Africa Brasil」1976年

Jorge Ben Jor(ジョルジ・ベン・ジョール)としても知られるJorge Benは、1945年リオデジャネイロ生まれ。サンバ、ジャズ、ロック、ソウルをミックスさせた新しい音楽、Samba Rock(ブラジルの発音では「サンバ・ホッキ」)を作り出しました。

じつはJorge Benは私が一番好きなブラジル音楽のアーティストで、以前こんな記事も書いています。

数多くあるジョルジベン作品の中でもソウル・ファンク色が強いのが、この「Africa Brasil」(アフリカ・ブラジル)だと思います。名曲「Taj Mahal」(タージ・マハル)はRod Stewart(ロッド・スチュワート)に盗作されたことでも有名です。

Taj Mahal

Dom Salvador e Aboliçao「Dom Salvador e Aboliçao」1971年

この作品はジャズかもしれませんが、ソウルの影響を受けて1970年代初頭に制作されており、歴史的に重要だと思うのでご紹介します。

Dom Salvador(ドン・サルバドール)は、1938年サンパウロ州生まれのピアニストで、もともと数々の有名アーティストの伴奏をしていました。そんな彼が、サックス奏者Oberdan Magalhães(オベルダン・マガリャンイス)やドラマーLuiz Carlos Batera(ルイス・カルロス・バテーラ)などのメンバーと組んで、アメリカのソウルを取り込んだ音楽に挑戦したのが「Dom Salvador e Aboliçao(ドン・サルバドール・イ・アボリソン)」です。

Oberdan MagalhãesやLuiz Carlos Bateraは、のちにBanda Black Rio(バンダ・ブラキ・ヒオ)を結成することになりました。ジャズやサンバという確固とした礎の上に、新しいブラック・ミュージックを作り出そうとしていた、黎明期の意欲あふれる一枚だと思います。

Uma Vida – Dom Salvador e Abolição

Banda Black Rio 「Maria Fumaça」1977年

Banda Black Rio(バンダ・ブラキ・ヒオ)は、1945年リオデジャネイロ生まれのサックス奏者Oberdan Magalhães(オベルダン・マガリャンイス)を中心に結成されたフュージョン系バンド。サンバ、ファンク、ジャズを融合させた独自のインストゥルメンタルは評論家からも高く評価されています。

名盤「Maria Fumaça」(マリア・フマーサ)では、Ary Barroso(アリ・バホーゾ)やLuiz Gonzaga(ルイス・ゴンサーガ)といったブラジル音楽のルーツともいえる巨匠の曲も演奏しており、必聴です。

Maria fumaça

Luiz Melodia「Maravilhas Contemporâneas」1976年

Luiz Melodia(ルイス・メロジア)1951年リオデジャネイロ生まれのアーティスト。Samba Rockのアーティストとして有名で、1973年のアルバム「Pérola negra」(ペロラ・ネグラ)が名盤として有名です。

でも、私はこの「Maravilhas Contemporâneas(マラヴィリャス・コンテンポラネアス)」のほうが好きです。リオのサンバに由来する郷愁あふれるメロディーが最高だと思います。

Luiz Melodia – Congênito (1976)

Di Melo「Di Melo」1975年

Di Melo(ジ・メーロ)1949年ペルナンブーコ州レシフェ生まれのアーティスト。ソウル、サンバのみならず、カリブ海の音楽にも影響を受けたトロピカルなブラジル音楽をやっています。

レシフェという町には、中南米の各地の音楽をミックスさせ、まったく新しい音楽を作り出すアーティストがよく登場するのですが、その筆頭がDi Meloではないでしょうか。一時は公の場から姿を消し、死亡説まで流れていた中、1990年代にイギリスのDJたちから「再発見」されました。

Di Melo – Kilariô (1975)

Evinha「Cartão Postal」1971年

Evinha(エヴィーニャ)1951年リオデジャネイロ生まれの歌手です。子供のころから兄弟でTrio Esperança(トリオ・エスペランサ)というコーラス・グループをやっており、その後ソロデビューしています。

1971年のアルバム「Cartão Postal」(カルタン・ポスタウ)は、サンバの躍動感がソウルに溶け込んだ奇跡的な名盤です。エヴィーニャの歌声は芯があり清らかで、聴いているだけで心が洗われるような気がします。

Só Quero

Carlos Dafé「Venha Matar Saudades」1978年

Carlos Dafé(カルロス・ダフェ)1947年リオデジャネイロ生まれのアーティスト。リオのサンバの血が流れる熱いソウルやファンクをやっていて、2枚目アルバムの「Venha Matar Saudades」(ヴェーニャ・マター・サウダージ)はとくに最高です。

ところでリオのゲットーでは、こういったディスコミュージックを爆音でかけるパーティーが日常的に開催され、そういった文化的背景のもと、バイレファンキというまったく新しい音楽が生まれていくことになりました。

Carlos Dafé – Crianca Maravilha (1978) Vinyl

Sandra de Sá「Sandra Sá」1982年

ブラジリアン・ソウルの女性アーティストといえば、Sandra de Sá(サンドラ・ジ・サー)1955年リオデジャネイロ生まれのアーティストで、いまでも大御所歌手として現役で活躍しています。

「Sandra Sa」というタイトルのアルバムが複数あるのですが、私が一番好きなのは1982年の作品で、これに名曲「Olhos Coloridos」(オリョス・コロリードス、色とりどりの瞳)が収録されています。この曲は、ブラジルに多い混血の肌や髪について、誇りを取り戻そうとよびかける曲でもあり、聴衆も一緒になって歌うとき真の魅力を発揮します。

Sandra de Sá – Olhos coloridos

さいごに

いかがでしたでしょうか。

ブラジリアン・ソウルはSamba Soul(サンバ・ソウル)とも呼ばれており、とても奥深い世界です。

古くはWilson Simonal(ウィルソン・シモナル)Elza Soares(エルザ・ソアレス)がソウルフルにサンバを歌っており、Trio Mocoto(トリオ・モコトー)Gerson King Combo(ジェルソン・キング・コンボ)Don Beto (ドン・ベト)Miguel De Deus(ミゲル・ジ・デウス)などなど、ここで紹介しきれなかったアーティストがまだまだたくさんいます。ソウルフルなAORの世界もまた深く、フュージョンポップスも含めればディスコミュージックの名曲は数えきれないほどです。

広くて深いブラジル音楽沼。ぜひいろいろ聴いてみてください!

それではまた!

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