今、ブラジルのドラァグ・クイーンたちが熱い!
別人に変身するヘアメイク、華やかな衣装、まばゆいステージ──。
ドラァグ・クイーン(Drag Queen)は、『ルポールのドラァグ・レース』の影響もあり、いまや世界各地で活躍し注目を集めています。
その活躍がとくに目覚ましいのが、ブラジルです。
ブラジルでは、ルポールに触発されてドラァグを始めたPabllo Vittar(パブロ・ヴィター)やGloria Groove(グロリア・グルーヴ)のようなアーティストが、音楽シーンの最前線で若者の人気を集めています。
そして、Pabllo VittarやGloria Grooveの影響力は計り知れず、もともとブラジルの音楽界にはLGBTQのスターが多かったとはいえ、2010年代中ごろから一段と性的マイノリティのアーティストが活躍しているような印象さえあります。
この記事では、そんなブラジルの音楽界で注目のドラァグクイーンたちを6人紹介します。
ブラジルのドラァグ・クイーンのアーティストまとめ
Pabllo Vittar
ブラジルのドラァグ・クイーンとして最初に名前を挙げなければいけないのは、Pabllo Vittar(パブロ・ヴィター)でしょう。1993年生まれのパブロは、ドラァグクイーンとしてインスタグラムで世界一のフォロワー数を誇り(この記事を書いている2022年7月時点)、ブラジルでは若者から絶大な支持を得るトップアイドルです。
性的マイノリティのロールモデルになるという使命感をもち、政治的な発言も臆することなく発信しています。ボルソナロ政権下では、反ボルソナロを表明する若いアーティストとしても世界中から注目されました(詳しくはこちらの記事をどうぞ)。
パブロの魅力は、高音域を歌いこなす力強い歌声と、チャーミングなキャラクター。その魅力が遺憾なく発揮されている“Disk Me”(ヂスキ・ミー)の美しいMVを貼っておきます。
Gloria Groove
Gloria Groove(グロリア・グルーヴ)は1995年生まれのアーティスト。デビュー以来、圧倒的な歌唱力とラップのスキルで注目され、2022年にはMultishow賞で「今年の声」部門を受賞。名実ともに、今のブラジル・ポップスの頂点に立つアーティストだと言えるでしょう。
同性婚したパートナーとお母さんの3人で共同生活を送っていることでも知られています(詳しくはこちらの記事をどうぞ)。
音楽的には、北米のR&B/Hip Hopから影響を受けたポップスをやっており、そこにブラジル独自の音楽が溶け込んでいるのが魅力です。ここで紹介する曲、“Coisa Boa”(コイザ・ボア)は、まさにそういったブラジルらしさが色濃く表れています。
Aretuza Lovi
1990年生まれのAretuza Lovi(アレトゥーザ・ロヴィ)は、2012年からドラァグクイーンとして音楽活動を開始し、ブラジル音楽界ででドラァグ・ブームの先陣を切りました。
ポップでキッチュなパーティー・チューンを聴きたければ、まずはアレトゥーザ・ロヴィがおすすめ。Pabllo Vittar(パブロ・ヴィター)、Gloria Groove(グロリア・グルーヴ)とコラボした曲“Joga Bunda”(ジョガ・ブンダ)は、いまのブラジルのドラァグ界の残るひとつの記念碑的作品です。
Lia Clark
1992年生まれのLia Clark(リア・クラーキ)は、ファンキ(Funk)界で初のドラァグクイーンとして2016年にデビューしました。
ファンキというのは、ブラジル独自のラップ・ミュージックで、北米のHip Hopに影響をうけつつ、ファヴェーラ(スラム街)で育まれてきたジャンルです。特徴的なリズムとダンスに加え、女の子はセクシーさを誇示する傾向があります。
リアはまさにその路線でドラァグをやっており、セクシーな肉体美、そして熱狂的で猥雑な世界観が彼女の魅力です。
Kika Boom
Kika Boom(キカ・ブーン)は、もともと作曲家としてPabllo Vittar(パブロ・ヴィター)などのアーティストに楽曲提供してきました。
キャリアの転機となったのは、Taylor Swift (テイラー・スウィフト)の楽曲”End Game”のカバー。作曲家として縁の下の力持ちであった彼女が、まさかのテイラーのカバー曲で有名になるというところに、人生の面白さがあると思います。
なお、このカバー曲で共演しているのは、トランス女性の歌手、Danny Bond(ダニー・ボンヂ)です。
Grag Queen
Grag Queen(グラッグ・クイーン)は1995年生まれの歌手。『ルポールのドラァグ・レース』のスピンオフ番組で、2021年に配信された『クイーン・オブ・ザ・ユニバース』に出演し、一躍有名になりました。
↑ 番組内でAmy Winehouse( エイミー・ワインハウス)の”Rehab”を披露しているところ。このしゃがれ声がGrag Queenの魅力です。
まだ音楽活動を初めて間もないですが、これからの活動も楽しみです。