Anitta(アニッタ)の魅力は、セクシーさ!
Embed from Getty Images今、ブラジル・ポップスの頂点に立つアーティスト、Anitta(アニッタ)。
アニッタの魅力は、なんといってもその「セクシー」さにあります。この記事では、アニッタの代表曲を12曲取り上げ、そのセクシーなMVをまとめて視聴できるようにしてみました。デビューから現在にいたるまで時系列で紹介するので、アニッタのディスコグラフィをたどるような感覚でお楽しみください。
「アニッタとは誰?」という方はもちろん、アニッタの代表作をあらためて振り返りたいという方、そして、迫力あるトゥワーク(おしりを振るダンス)を見たいという方は、ぜひ最後までお付き合いください。
なお、「アニッタに興味があるけれど、セクシーなのは苦手」、「おしりは見たくない」という方もいらっしゃるでしょう。そのような方は、次の記事をご覧ください。性的な要素がそこまで強くなく、純粋に歌声を楽しめるMVの曲をまとめてあります。
Anitta (アニッタ)を聴くならまずこの12曲
“Show das Poderosas”
“Show das Poderosas”(ショウ・ダス・ポデローザス)は、2013年のデビューアルバム“Anitta”(アニッタ)に収録されています。作詞作曲をアニッタ自身で手掛けており、彼女のアーティストとしての技量がよく分かる一曲です。女性のバックダンサーたちを率いてパフォーマンスするアニッタの姿は、撮影当時まだ19歳のはずですが、すでに圧倒的なスター性があります(リリースは20歳の頃)。
“Na Batida”
“Na Batida”(ナ・バチーダ)は、2014年の2枚目アルバム“Ritmo Perfeito”(ヒチモ・ペルフェイト)の曲。今のアニッタが大人の色気にあふれているのと比べると、このMVでは「若さ」がまさり、セクシーというより可愛い感じがしますよね。ファンキ(Funk)というジャンルの音楽特有のボイスパーカッションが入っているのですが、ファンキについては後で出てくる”Vai Marandra”の項目で説明します。
“Bang!”
2015年の3枚目アルバム“Bang!”(バン)より、同名の大ヒット曲。一度聴くと忘れられないキャッチ―なメロディーで、ヒットしたのも納得がいきます。アメコミ風に加工された映像のMVは、アニッタのおしりがポップアートの一部となっているようで、今見ても古さが感じられません。
“Sim ou Não”
“Sim ou Não”(シン・オウ・ナン)は、2016年のレゲトンの曲。ラテンアメリカで大人気のアーティスト、コロンビアのMaluma(マルーマ)とのコラボです。スペイン語バージョン“Si o No”もリリースされています(リンクはYoutubeに飛びます)。この頃からアニッタは、北米市場、ラテンアメリカ市場の開拓に本格的に乗り出していきました。
“Paradinha”
“Paradinha”(パラジーニャ)は、アニッタ個人の曲としては初めてのスペイン語の曲です(タイトルとサビはポルトガル語)。ブラジル国内ではもちろん、国外のラテンアメリカでもヒットしました。「ア・パラジーニャ・ア・ア・ア・ア」という親しみやすい歌詞で、一度聴くと、つい口ずさんでしまう魔力のある一曲です。ニューヨークで撮影されたというMVは、お尻をふる楽しさが周りに伝染していき、老若男女を問わず、みな踊りだしてしまうというストーリーになっています。
“Downtown”
“Downtown”(ダウンタウン)は、2017年リリースのレゲトンの曲。コロンビアのアーティスト、J Balvin(ジェイ・バルヴィン)とコラボし、スペイン語で歌われています。MVでは、エレガントでセクシーなアニッタを見ることができます。
“Vai Malandra”
“Vai Malandra”(ヴァイ・マランドラ)は、2017年のファンキ(Funk)の曲で、2022年の今でもアニッタの重要なレパートリーのひとつになっています。ブラジルのラッパーMC Zaac、アメリカのラッパーMaejor、ブラジルのプロデューサー2人組Tropkillaz(トロプキラズ)との共作です。
リオデジャネイロのファヴェーラ(スラム街)で撮影されたというMVは、「猥雑」の極みで、好き嫌いが大きく分かれるところでしょう。私の感想としては、こうした猥雑さは「強さ」でもあるし、曲自体が得体のしれぬ力を持っていると思います。
ファンキ(Funk)は、ブラジルのファヴェーラ(スラム街)で生まれたストリートカルチャーで、若い子が大音量でかけて踊るためのラップ・ミュージックです。ファベーラ出身のアニッタは、さきほど紹介した“Na batida”(ナ・バチーダ)のように、ファンキの要素をポップスに持ち込んだことで音楽的に評価されていました。こういった音楽を、ファンキ・ポップ(Funk Pop、ポルトガル語ではファンキ・ポッピ)とも呼びます。
ところで、2017年のアニッタは、“Checkmate”(チェックメイト)というプロジェクトをやっていました。戦略的に海外アーティストとコラボして、ポルトガル語、スペイン語、英語の楽曲を、月一曲のペースでリリースするという企画です。この記事で振り返るだけでも、2017年が多作であることがよく分かると思います。この「チェックメイト」の最後をかざる、年末リリースされた曲が、”Vai Malandra”でした。アニッタにとってファンキが特別なものだということがよく表れているエピソードではないでしょうか。
“Onda Diferente”
“Onda Diferente”(オンダ・ジフェレンチ)は、2019年の4枚目アルバム“Kisses”(キッシーズ)の収録曲で、アメリカのSnoop Dogg(スヌープ・ドッグ)、ブラジルのLudmilla(ルジミーラ)、そしてプロデューサーPapatinho(パパチーニョ)とのコラボ。曲のクレジットをめぐってアニッタとルジミーラが揉め、もともと対立をあおられてきた二人の関係がややこしくなるきっかけになってしまった曲でもあります。
“Combatchy”
2019年のファンキの曲で、ブラジルのファンキ・ポップ(Funk Pop)を代表する4人の豪華共演です。共演者は、Lexa(レシャ)、Luísa Sonza(ルイーザ・ソンザ)、MC Rebecca(エミセー・ヘベッカ)。なお、MC Rebeccaは現在、名前からMCを取り、Rebecca(ヘベッカ)として活動しています。
曲のタイトル“Combatchy”(コンバッチー)は、ポルトガル語の”combate”(コンバーチ)、「格闘」という言葉から来ています。何の「格闘」かというと、トゥワーク・バトル、つまり、おしりを振る格闘。4人がひたすらトゥワークし、誰が一番すごいかを競う様子は、セクシーというより、見ていて笑ってしまうような面白さがあります。
“Me Gusta”
“Me Gusta”(メ・グスタ)は、2020年にリリースされた曲で、アメリカの人気フィメール・ラッパーCardi B(カーディ・ビー)、プエルトリコのラッパーMyke Towers(マイク・タワーズ)との共作。英語とスペイン語を交えた歌詞で、「アミーメグスタ」(スペイン語で「私は好き」)というフレーズが印象的です。MVは、バイーア州のサルバドールで撮影されました。このビデオのスーツ姿のアニッタは、最高にかっこいいと思います。
“MODO TURBO”
“MODO TURBO”は2020年のLuísa Sonza(ルイーザ・ソンザ)の曲で、彼女のアルバム“DOCE 22″(ドーシ・ヴィンチ・ドイス)に収録されています。ルイーザ・ソンザ、アニッタ、Pabllo Vittar(パブロ・ヴィター)という、ブラジル・ポップス界で今を時めく3人のコラボです。
MVは、3人が廃墟となったゲームセンターで拡張現実の世界に入り込み、トゥワーク・バトルでゲームの中の敵を倒すというもの。ゲームの世界では、金閣寺や日本の城が背景となっており、日本のアニメやゲームがモチーフになっているようです。
“Envolver”
“Envolver”(エンヴォルヴェール)は、5枚目アルバム“Versions of Me”(バージョンズ・オブ・ミー)の先行シングルとして、2021年にリリースされたスペイン語の曲。腕立て伏せをしながらおしりを振る振付は、Tiktokで大流行し、2022年3月25日には、Spotifyのグローバル・ランキングで1位を獲得しました。アニッタはこの曲で、ブラジル人アーティストとして初めて「世界一位」という栄冠を手にしたことになります。
最後に
ここまで、アニッタの代表作を紹介してきました。
どのクリップもセクシーですが、「セクシー」と一言で言っても、いろいろな意味があることが分かります。「若さを謳歌している」、「猥褻で、暴力的な強さがある」、「性的に甘いムード」、「おしりを振るのがただ面白い」…。
そして、アニッタがすごいのは、セクシーなムードを演出できるだけでなく、おしりを振るというアスリート的な「技」でも皆を圧倒してしまうところではないでしょうか。
この記事を読んでアニッタに興味を持たれた方は、ぜひ次の記事もご覧になってみてください。アニッタの関わった楽曲をとおして、ブラジル音楽のいろいろなジャンルについて紹介しています。