マイアミベース系ファンキの曲「A Ultima Danca」がバイラルヒット

a ultima danca ニュース
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とりあえずこの曲を聴いて!

Spotifyでブラジル音楽のチャートを観測していたところ、ちょっと気になる曲がありました。

Link do Zap(リンキ・ド・ザピ)Pluglip(プラギリピ)による「a última dança」(ア・ウチマ・ダンサ)という曲です。

Link do Zap & Pluglip – a última dança (Official Video)

このMVで、髪の長い人がPluglip(プラギリピ)、髪の短い人がLink do Zap(リンキ・ド・ザピ)のようです。

音楽的にはマイアミベースのビートのファンキをEDMっぽくした感じ。

ブラジル独自のジャンルの音楽、Funk(ファンキ)では、昔はマイアミベース由来のリズムが主流でしたが、時代と共にリズムとサウンドが変わり、現在に至ります(くわしくはこちらの記事をどうぞ)。

そういった意味で、マイアミベースを思い起こさせる「a última dança」は、まさに先祖返りの曲だと言えるでしょう。

ただし、この曲を制作したアーティストは2人とも、ファンキのアーティストではありません。

Link do ZapもPluglipも、SoundCloudのようなプラットフォームで地道に音源を発表し、おもにHip Hopをやってきたようで、この曲「a última dança」だけがマイアミベース系ファンキに仕上がっています。

バイラルヒット

そして、この「a última dança」がバイラルヒットしています。

2025年4月16日のSpotifyバイラルチャート

2025年4月16日、この記事を書いている時点で、Spotifyの「バイラルトップ50─ブラジル」のチャート2位にランクイン。リリースされたのが1月11日ですが、たった3か月で再生回数は1746万回以上となっています。毎週更新の「トップソング─ブラジル」チャートでも49位にランクインしており、大健闘です。

アーティスト紹介

まずは2人のアーティストの過去リリース作を見てみましょう。

Link do Zap

Link do Zap(リンキ・ド・ザピ)による2024年の「Kalledy」は日本語のサンプリングから始まり、ネオソウル、レゲエ、ロックなど色々なジャンルの要素を貪欲に取り込んだ作品です。

とくに最後の曲「Nunca mais vou ser clt」は、オルタナティヴロックのようにかき鳴らすギターとレゲエ風のメロディー、トラップのビートをミックスした面白い一曲だと思います。こうした創作への貪欲さが「a última dança」の成功につながったのでしょう。

Pluglip

Pluglip(プラギリピ)による2024年の「Ágape」は、ネオソウル、Hip Hopの良作です。

「Antes de ir」は今のJ-Popを彷彿とさせるアップテンポな実験作で、こういった曲が突然放り込まれているのが面白いと思います。

マイアミベース系ファンキの伝統

VHOOR

ところで、マイアミベース系のファンキといえば、最近のDJではVHOOR(ヴォー)がいました。実際の名前の読み方は「ヴォーッ」みたいな発音のようですが、このサイトではヴォーと表記します。

5 . FBC & VHOOR ft. Mac Júlia – Se Tá Solteira

2021年リリースの「Baile」(バイリ)は古き良きマイアミベース系ファンキを洗練されたサウンドによみがえらせ、ブラジル国内外で高く評価されました。このサイトでも2023年の音楽賞で名前だけ登場しています。

VHOOR(ヴォー)は2025年、バイレファンキかけ子さんの尽力で来日公演を果たしました。個人的には「2025年最大の来日アーティストだったのでは?」と思うのですが、残念ながら見に行くことができませんでした…(涙)。こんな面白いDJを日本に呼んでイベントを開催するバイレファンキかけ子さん、本当にすごいと思います!

Bonde do Rolê

また、昔のBonde do Rolê(ボンジ・ド・ホレ)もマイアミベース系のファンキをやっていました。

Marina do Bairro

2007年の「Bonde Do Rolê With Lasers」(ボンジ・ド・ホレ・ウィズ・レイザーズ)Diplo(ディプロ)プロデュースで欧米に輸出されたエレクトロポップの作品で、バイレファンキをブラジル国外に広めるという重要な役割を果たしています。このグループのDJであったRodrigo Gorky(ホドリゴ・ゴーキー)は、のちにPabllo Vittar(パブロ・ヴィター)のプロデューサーとなり、ブラジルポップスに新たな波を起こしていくことになりました(詳しくはこちらの記事)。

話は逸れましたが、こういった「マイアミベース系ファンキ」の復権は今までも何度か起きていて、その伝統の中で今回の「a última dança」のヒットがあると言えます。

最後に

「a última dança」は、若いアーティスト2人が試行錯誤する中で生まれた、奇跡のような一曲だと思います。古いビートを現代風によみがえらせており、キャッチーな歌詞とメロディーも計算されているのでしょうか、バイラルヒットするのも納得の仕上がりです。

Link do ZapとPluglip、2人の今後の活躍に注目です!

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